あの街でビニール袋 (訳注: カンボジアではしばしば、飲み物がカップでなくビニール袋で売られています) から最後に飲んだのは、絞りたてのサトウキビジュースでしたね。首都プノンペンを発ったのがもう 2 年前だなんて、信じられません。
いま私は、イギリス諸島のある島にいます。東南アジアの怪しい売り子が怪しいブランド物を売りつけようとする時「はい、はい、(正規品と) 似たようなもんですよ」なんて言うことがありますが、東南アジアから戻った私の内面は、行く前とは似ても似つかないものになっています。
カンボジアで受けた感銘は、決して消えることはないでしょう。マンチェスター都心部の家の本棚に、カンボジア伝統の踊り子の像が置いてあります。それを見るたび、カンディーン村で夕方から行った、小さな「授業」を思い出すのです。私の髪に、ジャスミンの花びらを挿してくれた女の子。水たまりでサンダルを蹴飛ばし、あたりをびしょぬれにしてしまった男の子。
楽しい思い出は山ほどあります。けれどそこに、傷ついた人々の口から語られた言葉もこびりついているのです――ジェノサイド、凶作、教育システムの不備、女性差別。
カンボジアは消えない思い出と価値観を私に与え、この世界を見るための目を変えてくれました。この贈り物と、あの国の人たちが見せてくれた寛容さと優しさに応えるために何かしたい。たとえお礼と言うにはささやかすぎる活動であっても。
でも、いったい何を...?
そんなとき、レイチェルという友人からすばらしいアイディアをもらったのです。
ちなみに彼女とは 2016 年から働き始めた Biffa という廃棄物処理会社の同僚で、よくこういう「すばらしい」思いつきをする人なんですが... なんというか、その...
「スコットランドの高地に、アフリック・キンテールっていうトレイルがあるの。そこをフルで走ってみない?」。これが数か月前、レイチェルのくれた提案でした。そして私は、次はこの挑戦を通じ、Tuk Tuk for Children の援助をしようと決めたのです。
「トレイルの距離は 44 マイル (訳注: 約 70 キロメートル)。24 時間もあるし、余裕よ」。「景色に見とれてる間にゴールしちゃうわ」。
夏に向けてビキニが着られる体も作ろう、とレイチェルと私は約束しました。
それから 9 か月、最初は必死にひきずらなければ 0.5 マイルでダウンしていたようなこの足が、今ではおのずから、もっと長くて走りがいのあるルートを求めるまでになったのです!
トレーニングではいろいろな所に行きました。ウェールズはペンブルックシャーの海岸沿い、イングランドはチェシャー州の歴史豊かなサンドストーン。イングランドの湖水地方ブレンカスラの高所では、うねうねと曲がりくねったルートを走りました。次の目標はリーズ市のハーフマラソンです。
こうしたトレーニングを積んでいても、44 マイル (そういえば途中、およそ 2 キロの上り坂があるんでした...) の長さを走るというのは、能力の限界を試すようなチャレンジでしょう。けれどこれは、単なるストレス解消ではないのです。カンボジアの、もっと尊重されるべき人々の生活を改善するために、私は走る。それが分かっているからこそ、体中のエネルギーというエネルギーをかき集め、絶対にゴールテープを切るつもりです。
この記事を読んでくださっているあなたが、エイドリアンや真裕、そしてカンボジアにいる他のメンバーたちの献身的な活動に賛同し、私のように支援を表明してくださることを望みます。寄付はもちろん、Tuk Tuk for Children への貢献にはさまざまな形があります。私がカンボジアにいた頃から、団体の活動も大きな飛躍を遂げているようです。あなたのそのご支援で、さらに多くの人々が Tuk Tuk for Children の恩恵にあずかれるでしょう。